【鳥人間】エポキシ樹脂の色について~エポキシ樹脂の合成~
またまたエポキシ樹脂について少し書いていきます。
今回は2液混合タイプの主剤のエポキシ樹脂の透明性に関してです。
購入時点で若干黄色のものもあります。鳥業界ではそうでもないかもしれませんが、樹脂の透明性が追究されるケースがあります。光学系では特にそうですね。
そこで樹脂本来の構造から、色が付いてしまう要因を見ていきたいと思います。
1.エポキシ樹脂の合成
エポキシ樹脂は1つの分子構造にオキシラン環(エポキシ環)が2つ以上含む化合物のことを指します。
2液混合タイプの硬化樹脂において、エポキシ樹脂とは主剤にあたります。
主剤の合成方法として、まずビスフェノールAとエピクロロヒドリンを反応させます。
続いて、合成されたビスフェノールA誘導体に対して水酸化ナトリウムを用いることでエポキシ樹脂が合成されます。
これが液状エポキシ樹脂の基本合成ルートです。
2.エピクロロヒドリンの影響
エピクロロヒドリンは過剰量用いることで液状にすることが出来ます。
しかし、分子構造内にハロゲンが存在し、これが黄色になる要因と考えられます。
誘導体には含まれるがエポキシ樹脂本来の構造にはハロゲンが存在しないので大丈夫!と思われがちですが、製品中に不純物塩素がわずかにでも残存してしまえばハロゲンフリーとは言えず、純度を高めるのは難しいです。
また粘度自体にも影響が出てくるので、エピクロロヒドリンを用いないエポキシ樹脂合成法が期待されます。
そのような樹脂も商品化されていると思いますので、呈色が気になる方にはオススメです。
所々間違っているかもしれません。閲覧ありがとうございました。
【釣り】サビキ釣りでイワシを狙う~100円均一の仕掛けで大量~
先週末に千葉県の船橋でイワシを釣りに行った時のことです(・∞・)
朝6時頃に起き、まったり電車に揺られ着いたのは8時30分頃でした。
近くの駐車場でして、奥側に海が広がっています。
そして今回行う釣りは・・・
サビキ釣り!
オキアミをミンチにしたコマセ・餌網・仕掛け・錘・竿etc
があれば、あとは仕掛けを海に落とせば直ぐ釣れる・・・
そんな釣りです。
仕掛けは100円均一のサビキ仕掛け4号ピンクカラーを使いました!
「100均一 サビキ」の検索結果 - Yahoo!検索(画像)
(形状は↑の画像検索で直ぐ出てきます)
錘は8号のナス型を主に使い、時々3号の蛍光ナス型に切り替えていました。
そして、釣果はこちらです!
3時間程度の釣りでここまで釣れました~
イワシ17匹とサヨリ1匹です!
回遊していない時はやはり釣れない…朝9時~11時位まではほぼノーヒットでした。
しかしそれから連れ始め、30分~1時間程で切り上げました。
やはり100円の仕掛けといっても侮れませんね…!
閲覧ありがとうございました。
【鳥人間】CFRP桁にアセトンをかけるのは大丈夫?~エポキシ樹脂の硬化反応を見る~
以前少し話題になっていたので。
※化学系のお話をします。専門的になってしまいますがご了承ください。また、必ずしも正しいかはわからないです。
本題は
「CFRP桁にアセトンはかけても大丈夫なのか?」
です。
まずは桁に影響があるとすれば何処なのか。
炭素繊維?エポキシ樹脂?
結論から申し上げますと
浸すほどの量を一度に使い続けなければ、問題ないかと思います。
(追記:有機化学反応でしか議論していないので、高分子化学、更にミクロな視点を見ていった場合には問題が出てくるかもしれません)
1.概要
まず炭素繊維に対してアセトンは問題ないです。
エポキシ樹脂は少し厄介です。
CFRP桁のエポキシ樹脂が完全に硬化していることを前提としますと問題ないのですが、硬化前ですとアウトです。(自作桁において硬化前にアセトンをかけることはないと思いますが…)
例えば、接着目的で2液混合タイプのエポキシ樹脂を使いまして、作業台に溢してしまった状況を想定しましょう。
通常キッチンペーパーなどで拭き取った後に、アセトンで洗浄、そして水拭きでもすればある程度綺麗になりますよね。
しかし、溢した樹脂を拭き取らずに硬化してしまったらどうでしょう?
硬化後はアセトンをかけても、ドロドロに戻る…なんてことはありませんよね。
2.エポキシ樹脂の硬化反応
それではなぜ硬化後はセーフで、硬化前はアウトなのでしょうか。
それは硬化後に化学的な構造が変化するためです。
エポキシ樹脂には主剤と硬化剤があります。本来、主剤を「エポキシ樹脂」と呼び、硬化剤を「エポキシ樹脂の硬化剤」と呼びます。
主剤、つまりエポキシ樹脂は
「1つの分子内にオキシラン環(エポキシ環)を2つ以上含んでいる化合物」
と定義されます。
エポキシ樹脂といっても構造が多種多様に存在します。
基本骨格として、2つのオキシラン環を持つ上のような分子構造を想定してみます。
硬化剤は
・多官能アミン
・多官能フェノール類
・多官能チオール類
などが存在しますが、今回は一般的なアミン系の硬化剤を見てみます。
このような硬化剤を想定します。
この2つを混合し、熱をかけてあげると
上のような反応が進行します。
具体的な機構としては、硬化剤の窒素上の孤立電子対が、主剤のオキシラン環の立体障害が小さい端の炭素をアタックします。
こうして片側のオキシラン環が開くわけですが、もう片方にはまだオキシラン環が残っています。
ここに別の硬化剤の窒素上孤立電子対がアタックを…と繰り返し反応が進行し、ポリマー化します。
全体を見てみると長い鎖の間に架橋が形成され、ネットワークを作っているように見えるわけです。
このことからエポキシ樹脂の接着が強固であることがわかります。
3.アセトン存在下の反応
この反応系中にアセトンが存在していたとします。
この場合、硬化剤の窒素上の孤立電子対がアセトンのC=Oの炭素をアタックしてイミンを形成してしまう可能性が考えられます。
電気陰性度からO>Cですので、炭素の電子密度が下がるため、アタックを受けやすくなるわけです。
しかし反応速度的にはオキシラン環の3員環の歪みを解消したい方向へ進むと思われますので、あくまでも副反応として考えられる、ということです。
4.硬化してからアセトンが存在すると…
硬化剤は元々第一級アミンを2つ持っていました。
しかし、上記反応の生成物を見てみると、硬化後は第三級アミンに変わっています。
勿論孤立電子対は存在しますが、こうなってしまえば立体障害が上がっていますのでアタックしにくくなります。
つまり、そこから新たにアセトンのC=Oに攻撃する余裕は無くなっているわけです。
そもそも余裕があったとすれば主剤との反応が進むはずですから尚更なのかなぁと思います。
5.溶媒の樹脂への浸透(追記)
twitterでご指摘があったので追記したいと思います。
これまではエポキシ樹脂の硬化反応に阻害物質としてどのように働くのかを見てきました。
しかし、例えば界面化学において疎水性相互作用や脂質膜の構成に起因する力は反応だけで議論出来るものではありません。
今回においても、視点を更に小さくしていきますと、溶媒が硬化後の樹脂の間隙へ浸透することで分子間力は低下し、結果として炭素繊維強化プラスチックの強度を下げる…可能性があるということです。
とある報告例によりますと、エポキシ樹脂へのアセトン浸透性はアルコール他溶媒と比べても非常に高い、とあります。
また、吸収量に大きな影響が出るのは数時間以上の浸漬のようです。
従ってCFRP桁に対して、アセトンが布巾から滴り落ちるほどの量を数時間使い続けるとヤバいです。
少量かつ数回に分けて使うのであれば、表面のアセトンは浸透よりも先に揮発していくかと思われます。
勿論極少量のアセトンの浸透は考えられます。
一度樹脂内部へ浸透した溶媒は相互作用・気液界面積の観点から、通常の揮発性よりも劣りそうです。
どの様にアセトンを使うにしても極少量は浸透する可能性はあり、また、外部へ出ていくのは難しそうですが、それがどれだけ強度低下に起因するのかはわかりません。
自分的には浸すほどの量を一度に使い続けなければ、問題ないかと思います。
(5章の内容はほぼある方のツイートを参考にさせて頂きました)
6.番外 ~洗浄としてのアセトンの代用~
硬化前にアセトンを使って洗浄できることも、2.3.の通りです。
先程はスルーしてしまいましたが、硬化剤として多官能フェノール類もありました。
つまり、硬化剤以外のOH基を持つ化合物も反応阻害物質なのです。
言い換えれば洗浄としての溶剤に利用出来る可能性があるということです。
→OH基…アルコール…消毒用エタノールなんかももしかしたら利用出来そうですね。
長くなってしまいましたが、要するに
①樹脂構造に変化は生じるのか?
表面にアセトンが付着
→エポキシ樹脂硬化後なら有機反応は起こらない!硬化前ならアウト!
②樹脂構造内部にアセトンが入り込むことで影響はあるのか?
パターンA 少量かつ数回に分けてアセトンを塗布
→表面のアセトンは揮発する→極少量は浸透の可能性→誤差
パターンB 量が多いかつ長時間の浸漬
→溶媒浸透が促進→強度低下
と、自分の中では結論付けました。
所々間違っているかもしれません。閲覧ありがとうございました。
【鳥人間】CFRP専用"炉"の検討~乾燥器の利用~
鳥人間をやっていて、炭素繊維強化プラスチックCFRPを自分達で製作する際に一度は炉の自作を検討することがあるかと思います。
今回はその炉として乾燥器が使えると思い、書いていきたいと思います。
(自作炉についてはまた後日書く機会がありましたら…)
1.炉の必要性
CFRP板や特定の形状を持つCFRPを自作する際に、プリプレグや樹脂含浸CFクロスを加圧加熱硬化させると思います。
ウェット積層(樹脂を含浸させたクロスを積層し、常温で加圧して硬化させて成型する)ならば関係ありませんね。
加熱で手っ取り早いのは穴を開けたビニール袋に樹脂硬化前のものを入れ、ドライヤーを放り込めばokです。
しかし、
・温度制御が出来ない
・単純に危険
といった問題があります。
樹脂硬化前のものを温度一定で何時間キープするか…といった加熱をやりたいのであれば周りを箱で覆い、熱を逃がさないように工夫し、温度制御のプログラムを組む必要があります。
そこで炉が必要となってきます。
2.炉に求められる性能
炉に求められる性能をまとめていきます。
・温度を130℃付近まで上げられる
・その温度をキープできる
・時間制御ができる
・熱を逃がさない
・CFRP積層板を組んで(接着はエポキシ樹脂)、クロス貼りをしたものを入れることが出来るほどの容量。少なくとも主翼マウントが入るくらいは欲しい。
(・真空引き用ポンプを入れられる)
これ以外にもあると思いますが、パッと思いついたものを羅列してみました。
3.炉としての乾燥器の利用
乾燥器は化学系でよく使われる、ガラス器具の乾燥器のことです。
液体洗剤またはクレンザーで水洗いしたガラス器具をイオン交換水で置換し、乾燥器に入れて120℃でキープしておけば数時間後にはアツアツの乾いたガラス器具が使えるようになっています。
これ、中にプリプレグを積層した板を入れておけば良さそうですね!
一定の温度で好きな時間を設定すれば加熱出来るので、まさにCFRP専用"炉"としてピッタリです。
樹脂の硬化を早めるために熱をかける用途としても良いかと思います。
あとの問題は加圧です。
真空引きは、硬化させたいものをブリーザークロスや耐熱フィルムを用いて覆い、ポンプで中の空気を吸います。
これを乾燥器の中で行うためにはポンプを外から中に入れられる構造になっていれば良いですね。
乾燥器で検索をかけてヒットした商品の中で気になったものをいくつか紹介します。
タイマー機能が付いているので、好きな時間加熱出来ますね。出力設定が固定なので温度制御は出来ませんが、エポキシ樹脂の硬化待ちには向いているかもしれません。
天井部に穴が空いており、ホースも差し込められて良いですね。
また¥19,000であり鳥人間チームでも何とか買える金額なのかなと…。
こちらは温度も制御できます。
内容積も上のものと比較して大きめですね。
¥84,900とお高めなので現実的ではないですが…。
電装班によって温度制御プログラムを組んでもらえる環境であれば、ボックスをうまく作れば自作も出来ると思います。
しかし自分含め、電子工作や情報系にそんなに強くない人には導入するだけですから手軽です。また、強い人にもこういったモノは結構便利なのでは?と思い、紹介させていただきました。
閲覧ありがとうございました。
【鳥人間】CFRP板の強度up!C/Cコンポジットの利用
今回はCFRP積層板についてです。
1.CFRP積層板についてとその製作
CFRPはcarbon fiber reinforced plasticの略であり、炭素繊維とエポキシ樹脂の複合材料として広く使われています。
人力飛行機にもその応用箇所は広く、フレームや翼桁のみならず接合部や操縦桿にまで幅広く利用されています。
CFRP積層板は購入も出来ますが、自分達で製作しているチームも多いかと思います。
・編んだ炭素繊維にエポキシ樹脂が含有しているプリプレグを重ね、加圧加熱する方法
・CFクロスにZ-1などの2液混合型エポキシ樹脂を塗布し、重ねて加圧過熱をする方法
などがあります。
2.CFRP積層板の構造
実際に作る際には、同じ方向で繊維を重ねるだけではあまり意味がありません。
等方向性のプリプレグの場合は0°,90°…と重ね合わせたり、また45°や-45°方向に配置することも多いですね。
これを加圧、加熱すると樹脂は硬化して凝縮します。つまり炭素繊維と硬化後エポキシ樹脂が交互にサンドイッチのように合わさることで複合材料が形成されます。
強度(曲げ・引っ張りなど様々な意味合いを持つが、ここでは物質本来の強さ、という意味で…深い意味はないです)では炭素繊維のC原子のみで結合を持たせた方が上ではないかと思います。
しかし、焼成した炭素繊維の方向性が互い違いになることに大きな意味があります。
それを繋ぎ止めるためには樹脂が必要なのです。
3.樹脂も炭素繊維同様の焼成した炭素に置き換える
炭素繊維がある配向で重なり、これが樹脂無しで固着するのが理想かと思います。
この理想に少しでも近付けたのがC/Cコンポジットで、要はCFRP積層板のエポキシ樹脂の所が炭素繊維同様の焼成した炭素に置き換わるということです。
C/Cコンポジット は等方性黒鉛材(CFRP)と比較して強度が高く、たわみにくく、ワレ、カケが発生しにくい材料です。
また破壊が急激に進行することがありません。
人力飛行機にはそこまで求められませんが、金属材料と比較して高温での強度が高く、不活性雰囲気においては2000℃以上の超高温下でも使用可能との知見があります。
一般的な製法は
「炭素繊維を基材に樹脂を含浸させ、焼成して炭素化(必要に応じて黒鉛化)する含浸法」
あるいは
「炭素繊維基材に炭化水素を熱分解して得られる炭素を沈積させるCVD法」
によるそうです。
鳥人間をやっているチームが簡単に実現できるとすれば樹脂含浸法だと思います 。
しかし焼成すると空孔が生じてしまうため、再び樹脂を含浸して焼成を6回程繰り返す必要があります。
ここで問題となるのは焼成方法そのものです。
どうやって高温(少なくとも1000℃は必要…?)にすればいいのでしょうか。
一番手っ取り早いのは電気炉を購入してしまうことですが、10万円を超えてしまうため、とても人力飛行機製作においてここにそこまでの額を支払う余裕は無さそうですね…。
鳥人間界隈へ新しい材料の一例として提案出来たらと思いました笑
閲覧ありがとうございました。
【釣り】穴釣りでカサゴを狙う!~堤防~
以前穴釣りでカサゴを狙いに行った時のことを書こうと思います。
行ったのは2016年の9月頃です。かなり前になってしまいますが、当時はブログをやってなかったので…
夜行バスに乗り、現地に着いたのは朝6時頃でした。和歌山の某堤防まで目指し、休憩を挟んで実際に釣りを開始したのは11時頃だったと思います。
まず現地の状況について
周りは誰もいない!!また近くにはテトラ帯があり、穴釣りをするには絶好の環境でした!
ここはテトラ帯とはまた別の、近くの磯みたいな場所です。ここでは足場が悪いので釣りはしていませんが、周りにはこんな場所も…
仕掛けについて
仕掛けはソロバン型のブラクリ2号を使いました。これをバス釣り用の短いリール竿に取り付け、餌としてオキアミを使いました。
(ブラクリの形状などについては下の釣った魚についているモノをご確認ください)
そして、いざ釣りを開始!
開始早々スズメダイが釣れました。
それからも餌を落として1分かからない程でスズメダイがヒットします。
※スズメダイは塩焼きにして美味しく頂きました
それからテトラの30cm程度の隙間に餌を落として、落として、落として…を繰り返していき、15回目位だったでしょうか…
ついにヒットしました!
手の平サイズですね~~
やっぱり釣れた時の快感はスゴイですね。短い竿でやっていることもあり、引きが手にダイレクトで伝わってくる…
美味しく刺身にして頂きました!
自分は穴釣りで根魚を狙うときは、場荒れしていないポイントを探すのが一番早いと思っています。ネットで検索して出てくる場所は、勿論形状がバッチリで行き易い所も多いのですが、釣り人によって荒らされていることが多いです。
魚が居る所に普通の仕掛けと普通の餌を落とせば、魚はヒットしてくれます!テクニックなど必要ありません!これが穴釣りの手軽さですね~
閲覧ありがとうございました。
【鳥人間】エポキシ樹脂の硬化を早めるには!
人力飛行機の各部品の接着にはエポキシ樹脂を用いることが多いかと思います。
エポキシ樹脂で多く見られるのは2液混合型。主剤と硬化剤の2つを混ぜて、部品に塗布し、しばらく待てば接着!というもの。
しかし接着の時間は夏場であれば数時間で済むものの、冬場は数日かかる場合も…。しかも基本的に製作期間は冬場ですよね。
硬化を待っている間は次の工程にも進めず、その日の作業が終わりになってしまうと納期に遅れが出てしまうことも。
そこで今回は硬化時間を早める自分なりの方法を書いていきます。方法だけ確認したい方は途中過程はすっ飛ばして下さい!
2-1.ガラス転移温度とそれによる変性の理解
エポキシ樹脂に限らず他の樹脂やプラスチックまで、機体には多くの高分子が使われています。高分子は加温または冷却すると性質が変化します。融点もその一例ですが非晶性or結晶性高分子を急冷した場合は融点は観測されません。すべての高分子に存在するのがガラス転移温度(Tg)です。
2-2.Tgとは
高分子鎖のセグメント(繰り返し単位)がミクロブラウン運動を起こす温度のこと。ミクロブラウン運動は高分子鎖が重心位置をそのままにして形を変える運動です。このTgを境にして熱膨張係数・熱容量・弾性・粘性・誘電率・屈折率など様々な値が変化します。
一番わかりやすい例がチューインガムです。室温では固くてもろいガラス状であるが、口に入れると温度が上がり、Tgを超えてゴム状で強靭になるというものです。
また、Tgはその高分子固有の値を取ります。
2-3.Tgによって説明できる現象
(FRP/CFRP/フレーム)班でよく陥るのが樹脂の硬化時間を待っている間次の作業に進めない!というものです。しかし硬化時間は実は短縮できます(勿論物性は変わるので場所に応じて…ですが)。
硬化時間を短縮する方法
①硬化時間の短い樹脂を使う。
一番手っ取り早い方法です。Z-1でも50分硬化剤を使うのではなく20分硬化剤を使えば可使時間も早まりますが硬化時間は短くなります。クイック5を使えばもっと楽です。しかし一般的に硬化時間が早まれば強度は落ちるので注意してください。
②反応を促進するために熱を加える。
これもよく行います。対象物を袋に入れてドライヤーで30分程60-80℃キープすればz-1も硬化します。また、硬化後に60℃を2時間程度維持すると強度が増すそうです。しかし温度が高過ぎると(100℃とか)歪みが生じたり、酷い時はふにゃふにゃになったりすることがあります。この現象はTgによるものです。
Tgよりも高い温度で高分子はゴム状で強靭になる(強度は下がる)。
つまり加熱で反応促進は出来るのですがガラス転移温度を超えてはいけないのです(勿論融点もそうですが、一般にTg<Tmなので気にする必要はないです) 。
③硬化促進剤を併用する。
硬化促進剤は主剤・硬化剤と併用することで樹脂の硬化を早めることが出来る、とても素晴らしいものです。更に強度が増すものもあります。しかしその硬化促進剤の対象となる樹脂以外では意味がありません。つまり「z-1に使えるよ!」って書いてある促進剤でなければ、構造がわからない限り使わない方がいいです。もちろんその場合はz-1以外の対象となるエポキシ樹脂を使えばいいだけのことです。
以上が硬化を早める方法の中でも簡単に出来ることです。しかし時間に余裕がある時は説明書に従って待った方が良いですね。物性の変動もありませんので…
閲覧ありがとうございました。