【鳥人間】接着目的の樹脂の検討1
最近鳥人間が放映されましたので、それにちなんで。
人力飛行機の製作における接着目的の樹脂について比較をしていました。
界隈で有名である樹脂といえばエポキシ樹脂Z-1シリーズだと思います。
それ以外の市販樹脂も様々な種類がありますが、何をどのように比較すれば良いのか、自分なりの考え方を書いていきます…
1.接着力
エポキシ樹脂の接着面は特に弱く、パテやクロスの補強が必須です。また、CFRP製の後縁材にそのまま樹脂を塗って貼ったところですぐに剥がれてしまいますよね。それでは接着力を強くするにはどうしたらよいのでしょうか。
接着面を引き剥がそうとする場合、
①被着剤の破断 ②接着剤の破断 ③接着界面の剥離
の3つのケースが考えられます。
①について、CFRP板同士の接着の場合は複合材料に問題があるということです。これに関しては今回は省略します。
②について、接着剤であるエポキシ樹脂と硬化剤による硬化反応時に形成される結合が問題です。
接着破壊のうち①や②の破断は、それぞれの凝縮力の限度が超えたときに起こります。
③については接着力が相対的に弱いことから発生します。この接着力は凝縮力と界面接着力(被着剤と接着成分の相互作用)のバランスで決まりますが、接着成分の凝縮力については②と議論することは変わらないので、まずは理解しやすい界面接着力について。
被着剤と接着成分の相互作用には機械的結合・物理的結合・化学的結合があるといわれています。
1-1.3つの結合の違い
↑にて述べた通り、界面接着力には3つの結合が関与します。
①機械的結合・・・接着剤の成分が被着剤の凹凸に入り込んで硬化。アンカー効果…?
②物理的結合・・・接着剤の成分と被着体表面を構成している分子がファンデルワールス力によって引き合うことによりできる。接着分子が被着体に近接することが大切。
③化学的結合・・・接着剤分子と被着体分子が化学反応を起こして結合。共有結合というよりも水素結合と考えた方が妥当。
接着力の発現はこれらの3つの結合が独立していると考えるのではなく、複合的に作用していると考えると良いです(らしいです)。
特に、②と③では接着剤と被着剤の相互作用を高めることが重要で、つまりは被着体の表面のみを、その接着剤との親和性を向上させるようにすることが大切です。
⇒接着分子と被着体が密接にしたい
⇒濡れ性を高める!!
今日はここまで。次回は接着分子と被着体を密接であることを議論する上でかかせない濡れ性についてからです。